「低重量20~25repsは高重量10~12repsと同効果」と示す研究にツッコミ

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衝撃的な記事を発見してしまいました。

筋トレで重い物をあげる必要なし 軽い物を回数多く上げれば同じ効果|JCAST ヘルスケア

このタイトルを見た瞬間、私たちトレーニーは呆れ返ることでしょう。

またか」と。

筋肉がつくメカニズムを考えてみれば、重いものを持ち上げようとしないと筋肉が成長していかないことは容易に理解できるはずです。

ということで今回は、この記事の内容について取り上げていきたいと思います。

アイキャッチ画像の出典:photo credit: Barbell Workout in the Attic via photopin (license)

軽いウエイトを回数多く繰り返すことで同じ効果?

health

太い筋肉のマッチョな体に鍛え上げるには、重いウエイトで筋肉トレーニングを行なうのが常識と思われてきたが、軽いウエイトを回数多く繰り返すことで同じ効果があがることがわかった。

カナダのマックマスター大学の研究チームが、運動生理学専門誌「Journal of Applied Physiology」(電子版)の2016年6月16日号に発表した。

出典:www.j-cast.com

きましたね。カナダのマックマスター大学の研究チームです。

どのような実験をしたんでしょうか?

研究チームは、普段からトレーニングを積んでいる若い男性49人(平均年齢23歳)を、次の2つのプログラムで運動を行なうグループに分け、12週間にわたって全身の筋肉トレーニングをしてもらった。

(1)重いウエイトを最大筋力の70~90%の力で、8~12セット持ち上げる運動を行なう24人。

(2)軽いウエイトを最大筋力の30~50%の力で、20~25セット持ち上げる運動を行なう25人。

(1)は伝統的なウエイト・リフターの筋トレ方法で、(2)は新しい考え方の筋トレ方法だ。双方とも、疲労によりウエイトを持ち上げることができなくなるまで運動を続けてもらった。出典:www.j-cast.com

いやいやいや、(1)の方が筋肉つくに決まってるでしょ。

(2)なんてパンプアップの手法じゃないですか。

高重量でのトレーニングあってのパンプアップですから、(2)で筋肉が発達していくわけがありませんよ。

まあ、結果は予想できますが、どうだったんでしょうか?

プログラムの開始前と12週間後の終了時に、両グループの被験者の血液と筋肉組織のサンプルをとり、分析した。その結果、筋力の指標である筋肉量と筋繊維のサイズの増加は、両グループともまったく同じだった。

研究チームのウォード・モートン博士は「エリートのアスリートも同様の結果が出るかどうかはわかりませんが、一般的に健康を維持したいと願う人には朗報です。重いウエイトを持ち上げなくては筋力が増大しないと悲観する必要はありません。自分が持ち上げられる範囲の軽いウエイトでも、繰り返し行なうことで同じ効果をあげることができるのですから」と語っている。
出典:www.j-cast.com

なんということでしょう!

両者違いがないだと!!!??

ってか、どこの筋肉で計測したんですか?

広背筋と上腕二頭筋とでは筋肉のサイズが違いますから、高重量低回数が良いのか低重量高回数が良いのかは変わってきますよね。

これだけの情報だと話にならないので、原文の方を調べてみましょう。

Neither load nor systemic hormones determine resistance training-mediated hypertrophy or strength gains in resistance-trained young men

画像の出典:exclusive-researchpapers.com

対象の種目は?

the inclined leg press (LP; Maxam Fitness, Hamilton, ON, Canada), barbell bench press (BP), machine-guided knee extension (KE; Atlantis, Laval, QC, Canada), and machine-guided shoulder press (SP; Life Fitness, Rosemont, IL).
出典:jap.physiology

インクラインレッグプレス(大臀筋、大腿四頭筋)、
バーベルベンチプレス(大胸筋)、
マシンガイドニーエクステンション(大腿四頭筋)、
マシンガイドショルダープレス(三角筋)

この4つの種目を対象に行ったようです。

その使っている筋肉を見てみると、大臀筋や大胸筋など、大きい筋肉ばかりじゃないですか!!

上腕二頭筋とかなら低重量高回数で追い込みますけど、大胸筋でそれをやってもなかなか成長していきませんよね。

不思議な結果です。

栄養に差はなかったのか?

Participants consumed 30 g of whey protein (BioPRO; Davisco Foods International, Le Sueur, MN) twice per day: immediately following RT on training days (8) and the other prior to sleep (39).

On nontraining days, participants consumed the first dose in the morning and the second dose 1–2 h prior to sleep, similar to training days.
出典:jap.physiology

参加者は、トレーニング後と寝る前の合計2回30gのプロテインを摂取し、トレーニングをしない日も朝と寝る前に2回摂取していたそうです。

両グループとも栄養ばっちし摂ってますね。。。

これで差が出ないとなると、やはり低重量でも筋肉はつくのか?????

でも筋力アップには差があった

Following the 12-wk intervention, there were similar increases in muscular strength between groups. Specifically, both HR and LR increased LP, KE, and SP 1RM with no differences between groups.

However, while both groups increased BP 1RM, the increase was greater in the LR group compared with the HR group (15 vs. 9%; Fig. 4, C and D)

出典:jap.physiology

やっぱそうですよね!!

太字部分に着目してもらいたいです。

今回の実験で筋力の指標である筋肉量と筋繊維のサイズの増加に差はなかったそうですが、

ベンチプレス1RMの成長率を比べたときには、高重量低回数の方が15:9で勝っていたというのです。

つまり、筋肉の大きさに差は見られなかったけれど、筋力には差が見られたという結果です。

でも筋力と筋肉量って比例するんじゃないの?

macho

肉体改造研究所の記事がわかりやすく書いて有ります。

太いゴムひもと細いゴムひもでは、太いゴムひもの方が縮む力が強いのは当たり前。

筋肉はゴムそのものではありませんが、発揮できる筋力の強さはゴムと同じように筋肉の太さ(断面積)に比例します。

つまり、太い筋肉が強い筋力を発揮できるというのは印象だけの問題ではなく、科学的に考えても事実なのです。

画像の出典:肉体改造研究所

そうですよね。太いゴムの方が強いのは常識的に考えてわかることです。

しかし、必ずしも筋力と筋肉量が比例するとも言い切れないようです。

ちなみに発揮できる筋力の強さは、筋肉の断面積1cm2あたり4~10kgであると言われています。

しかし、ここでちょっと上に記載した数値に着目してみて下さい。

面積あたりで4~10kgという開きがあるということは、同じ太さの筋肉でも極端な例では2倍以上の筋力差があることになります。

画像の出典:肉体改造研究所

そんなに差があるんですね!!!

その要因として3つ挙げられています。

速筋・遅筋の割合
短時間の間に大きな力を発揮する速筋と、長い間少しずつ筋力を発揮する遅筋の割合によって発揮できる筋力の性質が大きく変わってきます。

脳や神経の機能
筋肉自体が太くても、その筋肉に対して命令を送る脳や神経が鍛えられていないと十分な筋力を発揮する事が出来ません。このため筋力トレーニングを習慣的に行っている人は、それほど太い筋肉を持っていなくても大きな筋力を発揮できる事が多いのです。

血管や脂肪などの割合
筋肉の中に存在する血管や脂肪によっても、筋肉の太さは変わってきます。一般的にはボディビルダーの様に比較的軽い重量と多めのレップ数でトレーニングした場合は血管などの発達により筋肉が太くなりやすいと言われています。

画像の出典:肉体改造研究所

速筋・遅筋の割合、脳や神経の機能、血管や脂肪などの割合なんかも筋肉の太さに影響を与えるので、必ずしも筋力と筋肉量が比例するとは言い切れないわけですね。

まとめ

今回取り上げたカナダのマックマスター大学の研究では、「低重量でトレーニングしても高重量と同じような筋肉量を増やすことができる」という結論に達したようですが、

筋力の観点では、高重量チームの方が勝っていたことを考慮すると、

この実験は3ヶ月だけではなく、1年くらいは続けてみないと分からないのではないか?と思います。

また、私たちが筋肉を鍛える目的は、見た目の筋肉をつけることだけではありません。

強い男になるという目的があります。

重いものをあげられる男と、軽いものしか上げない男、どちらが強い男であるかなんて聞くまでもありませんよね。

ということで、この研究のニュースを踏まえての私の結論は、

男は黙って高重量!!!

以上です。

重いものがあげられるように、日々鍛錬していきましょう。

では!

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ABOUTこの記事をかいた人

iOS等ネイティブアプリのエンジニア歴5年。早稲田大学創造理工学部を卒業後、アプリ開発ディレクターを経験し、その後プログラマーに転向。報道系ベンチャーでニュースアプリのiOSアプリ開発を経験。その後ARベンチャーでリードエンジニアとして活躍。大人気アプリ「ペチャバト」をリリース。個人の発信力を高めたいと考え2019年2月に独立しフリーランスエンジニアとなる。2020年4月にFlutter大学オンラインサロンを設立し、同年6月には合同会社KBOYを創業。現在は業務委託の10人弱のメンバーと共に、YouTube運営、オンラインサロン運営、Webサービスの自社開発も行っています。 【Twitterはこちら】